眼の病気に関するQ&A
緑内障に関する10の疑問
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Q1
緑内障はどのような症状がありますか、また必ず失明するのですか
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A1
緑内障は大きく分けて、慢性緑内障と急性緑内障の2種類があります。まず慢性緑内障について説明します。初期の緑内障では自覚症状はありません。せいぜい、頭痛や肩こり、眼精疲労、また「街灯や蛍光灯の周りに虹がかかる」などの症状です。逆に言うと、このような症状がある人は(実際はこのような症状のない人も40歳を過ぎれば)1度は眼科専門医で検査を受けた方が良いと思います。その際、眼底検査は必須の検査になりますので、病院に自分では自動車を運転して来ないようにお勧めします。(精密眼底検査のために瞳孔を広げる点眼薬を入れますが、検査後3~4時間はぼんやりと見えて自動車の運転は避けていただくことになります。これは自然にもとに戻ります。)進行すると視野の異常を自覚します。視力は良いのですが、中心のすぐ鼻側付近が見えにくくなってくることが多いです。中には視力が急に落ちてくることもあります。鼻側の視野の欠損や、周囲の視野の狭窄(狭くなること)を感じます。末期では中心だけ、あるいは耳側だけがかろうじて見える状態になり、放置すると失明します。つぎに急性緑内障について説明します。おもに夕方から夜半にかけて、急激な目の痛みと視力低下、また目の強い充血、吐き気、頭痛などがあります。中には、眼科の病気と気づかれずに外科や内科を急患として受診することもあります。早期に適切な治療を開始することが重要です。
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Q2
緑内障はどこが悪いのですか、また遺伝がありますか
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A2
緑内障は、目の硬さ(眼圧)が大きく関係している視神経が痛む病気です。眼球はテニスボールのようなもので、その中は前の方から順番に、前房(ぜんぼう)、水晶体(すいしょうたい)、硝子体(しょうしたい)の3つに大きく分けられます。前房は房水(ぼうすい)と呼ばれる水で満たされており、房水は常に新しい房水と入れ替わることによって眼球に一定の硬さが維持されています。一方、視神経は眼球のもっとも奥にあるのですが眼圧の影響を受けやすく、房水の出口が狭くなるなどして眼圧が上がると視神経が痛みます。眼圧が急上昇して視神経が急激に傷害されるのが急性緑内障であり、ゆっくりと少しずつ傷害されるのが慢性緑内障です。そのほか、視神経の血液循環が良くない場合も緑内障を悪化させます。急性緑内障の診断や、中期以降の慢性緑内障の診断に迷うことはまずありませんが、初期の慢性緑内障の診断は難しいことも多いのです。現在は明らかな緑内障とはいえないが疑わしさが残る場合や、将来緑内障になる可能性があると判断される場合には、他の病気も念頭におきながら定期的に経過をみることが大切です。緑内障は遺伝が関与しています。自分の血のつながった親戚が緑内障であれば、中年以降には緑内障の検診を必ず1度は受けることをお勧めします。
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Q3
緑内障の治療法について教えてください
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A3
残念ながら1度痛んでしまった視神経をもとの状態に戻すことはできません。したがって、緑内障と診断されたときよりも視神経が痛まないように神経保護をするのが治療の目的となります。そのためにもっともよく使われるのが眼圧を下げる点眼薬です。さまざまな眼圧下降剤がありますが、心臓の不整脈や気管支喘息がある人には使えない薬もあるので注意が必要です(点眼薬は、目のほか鼻の粘膜からも吸収されて全身に移行しますから、点眼薬によってはこれらの病気を悪くするものがあります。)ほかに神経保護のためのビタミンB12剤の投薬なども行われます。このような治療をしながら神経の痛み具合が進行していないかを視野検査で定期的に調べます。どの程度にまで眼圧を下げれば神経の痛み具合が進行しないのかは各患者さんによって違いますので、最初はわかりません。そこで、眼圧の測定と視野の検査結果を手がかりに治療薬を選択あるいは変更し、場合によっては手術を行って眼圧を大幅に下げて生涯にわたって治療を続けます。早期に見つけて早期に治療を開始することが緑内障には大切です。
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Q4
緑内障の手術はどんなときにするのですか
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A4
慢性緑内障の治療には2~3種類の眼圧下降点眼薬を使うことがもっとも多いのですが、これらを使っても眼圧が十分に下がらない場合や、点眼薬アレルギーやその他の理由で点眼薬をつけられない場合、あるいは眼圧を下げることによって視野の進行増悪の阻止が期待できる場合に手術を行います。手術の目的は、溜まっている房水を前房から逃がしてあげ眼圧を下げることです。慢性緑内障に対してレーザーを使った治療法がありますが、長期の効果の持続は期待できません。(注意:急性緑内障の予防目的でするレーザーを使った治療とは異なります。)入院して手術をするのが、今も昔も本道です。慢性緑内障にはさまざまな手術方法がありますが、どの術式を行うかは医師の判断に依ります。一方、救急車で運ばれてくるような急性緑内障の患者さんに対しては、通常、点滴や点眼、内服などで眼圧をできるだけ低下させてからレーザー虹彩切開術を行います。角膜が腫れていてレーザー虹彩切開術が無理であれば、虹彩切開術という昔からある手術を行います。またレーザー虹彩切開術は、急性緑内障をおこしそうな狭い隅角の(房水の出口が狭い)人に予防的に行うこともよくあります。
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Q5
緑内障の手術法について教えてください
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A5
房水の通りを良くするために関所となる部分(線維柱帯)を切開する方法や、まったく新しい出口をつくってあげる方法などがあります。新しい出口をつくる場合は、傷が早く治ってしまわないような薬を同時に使うのが普通です(傷が治るということは、手術で作った新しい出口が塞がるということで、これは緑内障の手術には都合が悪いのです。)一般に、緑内障の手術は術者の技術に依存するところが大きいので、術前によく医師と相談することが大切です。
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Q6
手術は痛いですか
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A6
緑内障の手術は30~60分で時間をかけてゆっくりと行うことが多いので、それに見合った麻酔法を選択しますから、通常は痛いことはありません。
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Q7
手術は入院してするのですか
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A7
手術は原則として入院です。単純な手術であれば日帰りも可能ですが、緑内障手術は単純なものから込み入ったものまで幅があり、一般に込み入った手術であるほど入院の必要性が増します。入院期間は通常1~3週間です。
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Q8
手術をすると必ず眼圧は下がるのですか
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A8
眼圧下降の程度は、緑内障の種類、手術法や術者の技量に依るところが大きいのが特徴と言えます。急性緑内障に対する虹彩切除術は、まず例外なく眼圧は下がります。慢性緑内障に対する手術は、よく下がる人、下がらない人、下がってもしばらくするとまた上がってくる人などさまざまです。また、白内障手術に比べて、起こりうる術後の合併症(眼圧の下がり過ぎや眼底の腫れ、視力の低下など)が多いのが欠点です。
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Q9
緑内障手術をしたあとに、将来もう1度緑内障手術をすることがありますか
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A9
将来に緑内障手術を再びすることがあります。たとえば、緑内障手術をして数年間は眼圧が下降していたのに、また上昇してきたような場合です。それは、手術による傷が治ってきて手術で作った新しい出口が塞がって来たためという説明も成り立つので、ある意味ではやむを得ない面もあります。そこで、長期に眼圧の下降効果を持続させるために1回目の緑内障手術でできるだけ眼圧を下げておきたいのですが、そのような効果の強い手術ほど一般に手術直後の合併症が多いなどの欠点があります。
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Q10
白内障があるのですが、緑内障手術ができますか
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A10
白内障の程度にもよりますが、このような場合には白内障と緑内障の手術を同時に行うことがむしろ勧められます。白内障の項目でも述べましたが、白内障手術そのものが眼圧を下げるという考えが一般にあります。医師と相談の上ですが、可能ならば同時手術が望ましい場合があるのも事実です。